【ちんぷんかん】著者:畠中 恵 | 勝手に書評

【ちんぷんかん】著者:畠中 恵

畠中 恵
ちんぷんかん
【一言評価】
過保護な妖と病弱な若だんなの物語

【こんな方にお薦め】
前作 うそうそ を読まれた方

【管理人感想】
しゃばけシリーズの第6段
↓ネタバレなので注意して下さい

・鬼と子鬼
病弱な若だんなはとうとう三途の川まで行ってしまいました。三途の川を船で渡る為には6文必要・・・なんてあの世でもお金が必要なんですね。お金のないものは浅瀬を渡っていくしかないとか。衝撃だったのは、子供が死ぬとどうなるかだった。川原で子供達が自分の背丈ほどもアル石を積み上げるとどこからともなく鬼が現れて蹴散らかしていく。鬼達がその石の塔を仏への供養として受け入れ、川を渡してくれるまで、石を積み上げるしかないのだ。幼い子が賽の川原で石を積むのには理由がある。幼過ぎて御仏の教えを聞いたり、布施を出来ずに死んだ者達が、その代わりとしてやっていることであった。
鳴家達を元の世界に戻す為に若だんなは真っ暗な道へ引き返すのを選んだ時、金子を末松に預ける。それなのに末松は、若だんな達が逃げようとしていると鬼に伝えた。若だんなに優しくされた子供がわが身可愛さと嫉妬で若だんなを鬼に売るところ、殺伐としていてぐさっとささりますね。

・ちんぷんかん
広徳寺の妖退治で高名な寛朝の弟子・秋英の物語。
鶴亀算が出てきました♪

・男ぶり
長崎屋若だんなの母・おたえと父・藤兵衛の馴れ初め
・・・藤兵衛、おたえにベタぼれですな。

・今 昔
式紙が若だんなを襲う。陰陽師が狙っているのは誰か。

・はるがいくよ
一番好きな話かも。
桜の花びらの小紅。成長が早く、桜の花びらであるがゆえにすぐに散ってしまうと若だんな達は悟る。若だんなはそれが悲しい。なんとか小紅をとどめる方法はないかと思案する。一方若だんなをずっと育ててきた妖の手代二人は、若だんなが小紅に抱く気持ちと、長命の妖である自分達が若だんなに抱く気持ちが重なる。

「ねえ、小紅。もし・・・もし神の庭でいつまでも咲いていられるのなら、そうしたいかい?」
さらりと聞く。すると、これまたあっさりと、小紅が首を振った。
「私がいつまでも木に居座ったら、木も次の年の花も困ってしまうわ」


【サイト内関連記事】

シリーズ第一弾 しゃばけ
シリーズ第二弾 ぬしさまへ
シリーズ第三弾 ねこのばば
シリーズ第四弾 おまけのこ
シリーズ第五弾 うそうそ

番外編 みぃつけた ・・・絵本