【ガール】著者:奥田英郎 | 勝手に書評

【ガール】著者:奥田英郎

奥田 英朗
ガール

【一言評価】
30代の女性のリアルな感情

【こんな方にお薦め】
30代女性と会社で接している男性
会社で働いている30代女性

【管理人感想】
若い時代が終った30代半ばの働く5人の女性それぞれの短編

課長職を拝命された武田聖子。みんなが仕事をしやすい様に常に配慮しながら部下の性格などを把握していこうとつとめる。自分が部下だった頃の上司の嫌な行動などを思い出し、そういうことはしないようにと。
しかしそんな聖子を悩ます部下が一人。自分よりも年上で男。仕事もできる。この男よりも自分が出世しているのがしっくりこない。上司にそれとなく聞いてみると派閥の問題らしい。その男のボスが戻ってくるまでの人事のようだった。

この男は、女房とホステスと部下しか女を知らない。そのいずれかには鷹揚に接し、守ってやるという姿勢を見せる。そして聖子や裕子のような男の庇護を求めない女に対しては、ひたすら敵対心を燃やす。

こんな男どこにでもいますよね。女に限らず男に対しても自分を頼ってくる者以外には敵対心を燃やすひと。徐々に徐々にお前は俺の子分になるのか?それともあいつの子分か?みたいな(笑)

我慢の限界に来た聖子はこの男とやりあいます。噂になるのを覚悟で。

男が怒ればカミナリを落とした、女が怒ればヒステリー。これもずいぶんな話だ。

すごくよく分かります。
怒ったら「なんだ 生理か?」「ヒスだすなよ」なーんて言葉は聞き飽きるくらい。
ガキか?って思うようなことでいちいち癇癪起こしてるような人が言うんですから。男尊女卑ですねこれは。

人並み以上の容姿に恵まれ若い頃から特権を享受してきた女の子が女となり
30代でもう若い子の扱いをされなくなった。働く独身女性だから身なりもお金がかかっていてよい。
だが周りから今までと違った扱い。そんな女性がこの先どう立っていけばいいのか悩む様子など
こと細かいリアルな描写。

5人の女性の物語を読んで大きく頷く事が多かった。

全ての話が最後はうまくまとまって終るから後味がよい
リアルにこんなにうまくはいかないよとも思うが、これはこれでいいのです。